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18 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
満洲なるものの位置づけを試みる,
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レビュー対象商品: 〈満洲〉の歴史 (講談社現代新書) (新書)
著者には「満鉄」「大東亜共栄圏」というように、焦点をしぼった著書もある。本書はもっと大きな視点で、満洲の東洋史的位置付けを試みているかと思う。ただ、日本人の目線から見た中国東北史という限定はつく。殖民と工業化と政治文化という三つのテーマを日中両国の対比の中で追究している点で意欲的著述と言えよう。本書を「総花的」だと批判するのは自由であるが、本来著者の執筆意図は、個々の現象を超えて『〈満洲〉の歴史』を総括的に描こうとしたものとみなしたい。 十九世紀までの満洲・東アジア激動の中の満洲・奉天軍閥と対立する日本・満州国の時代・ 満洲国は何を目指したのか・満洲に生きた人たちの生活と文化…これだけの章立てを見ても、並々ならぬ意欲が感じられる。 私自身、満洲関係の本は数多く収集しているが、自己の体験を語るという意味で貴重なものの、本書のような総合的視点で「満洲なるもの」を史的=本質的に見極めようとするものは、少ない。この度、戦後六十有余年にして、つつけばいくらでも埃の出る課題に挑戦しただけでも是としたい。
22 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
戦後日本へつながる満洲史,
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レビュー対象商品: 〈満洲〉の歴史 (講談社現代新書) (新書)
日本の昭和前期、十五年戦争についての議論は左右に大きく分かれているようで、実際にどのようなことが行われ、どのようなことが目論まれたのかについての記述は論者の史観によって大きく異なっているので、なかなか基礎的な事実についての著作も見つけ難かった。その点本書は、戦争期の日本の状況についての出来事やデータを多く含んだ基本書として読み込める1冊になっている。構成は、第1章から第4章、第7章を十七世紀から戦後の中国東北部の状況についての通史に充て、第5章・第6章で満洲国の統治と政策・満洲国で生活していた人々の群像をそれぞれ分析し、第8章で全体の纏めを行っている。前々から満洲国のこと、満洲で行われていたことについて強い興味があったが、その好奇心は大分満たされたし、考えさせられることも多くあった。 よく言われることなのかもしれないが、やはり満洲国で行われた政策、立てられた計画は日本人にとっての壮大な実験だったのだな、という思いが真っ先に浮かんでくる。そもそもは日露戦争の戦後処理として浮上した満洲統治の現実性に、時の理想主義者や投機家、膨張主義者や困窮者が相乗りして進んでいった先、そこには中国人や朝鮮人、満洲人やロシア人もいて、各民族の各階層の思惑が殻まりあって衝突や対立、妥協や連携の網の目が張り巡らされていく。本書の記述を辿っていけば、2009年の現在から特権的な視点で断罪したり、賛美したりというよりも、まず現在にも形を変えて保持されている、社会の縮図としての利害のぶつかり合いの鮮明さが印象に残る。そして、本書で扱われている内容は、他のレビュアーさんも言っているように、戦後の日本のあり方に直結している。中央官僚が政治や産業をコントロールする手法は満洲で実践された後日本国内に適用され、現在に至るまで効果を保っているし、北朝鮮と満洲国の関係も本書で示唆されている。 十五年戦争については、硫黄島や沖縄での戦闘については多くが語られているのに対して、満洲でのことは広く語られていないように思う。しかし、満洲でのことは現在の日本について知るためにも大事な歴史であり、あるいは学ぶところの多い失敗した壮大な実践であり、多くの庶民にとっては裏切られた希望であり、富を得て生活を謳歌した人々には触れられたくない隠しどころであるかもしれない。参考になった1冊。
8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
満州を通史的に見た良書,
By ヒデヨシ " " (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 〈満洲〉の歴史 (講談社現代新書) (新書)
本書は17世紀から21世紀までの中国東北の歴史を5つの時期区分をして、 日本人の目からその発展過程を考察した。 侵略について的確に分析し、 満州を通史的に見た非常に優れた本である。 『満州と自民党 (新潮新書)』, 『日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ (講談社現代新書)』も 合わせて読むことをお勧めしたい。
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