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53 人中、43人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
よく知ってる映画なのに、隠された謎がこんなにあった,
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レビュー対象商品: 〈映画の見方〉がわかる本80年代アメリカ映画カルトムービー篇 ブレードランナーの未来世紀 (映画秘宝コレクション) (単行本)
本書が取り上げる作品は以下の8本。クローネンバーグ「ビデオドローム」、ジョー・ダンテ「グレムリン」、キャメロン「ターミネーター」、テリー・ギリアム「未来世紀ブラジル」、ストーン「プラトーン」、リンチ「ブルーベルベット」、バーホーベン「ロボコップ」、そしてリドリー・スコット「ブレードランナー」。いずれも映画好きの男性にはこたえられないセレクションです。 前作『〈映画の見方〉がわかる本』がキューブリックやコッポラ、スコセッシといった歴史上の巨匠になりつつある人々の作品を取り上げていたのと対照的に、本作は読者である自分が少しはものを考えるようになった頃リアルタイムで体験した作品が主なので、より親しみがもてます。そして、著者がどれくらい鋭くこれらの作品を見て解剖しているかが、よりわかる。本書は海外でしか知られていない文献をソースにしているのかと思いきや、どうもDVDのコメンタリなど私たちも目にすることができる資料を元にしていることが多いようです。それなのに、これほど鮮やかに作品の内面に切り込むことができる、著者の力量に感嘆を禁じ得ません。 あまり知られていない作品を持ってきて「カルト」と紹介する手法がよくありますが、著者がやってるのは正反対で、誰もが知ってる作品を誰もやらなかった方法で切っている、そこがすごい。この人が書くものが私は好きです。本書ではとくに「プラトーン」について書いた部分が大好きです。イラク戦争の影が私たちに覆いかかっている今、ヒリヒリとリアルに見ることができる映画だから。著者が本書で取り上げた作品はそれぞれ「いま」的な意味がたっぷりある作品ばかりです。文句なし、大満足の一冊。
35 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
映画論というのはこういうのを指すのかな,
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レビュー対象商品: 〈映画の見方〉がわかる本80年代アメリカ映画カルトムービー篇 ブレードランナーの未来世紀 (映画秘宝コレクション) (単行本)
「ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判」等で映画に関する博覧強記ぶりを見せてくれた著者の最新刊。70年代、アメリカ映画はひりつくような現実世界を観客にするどく突きつけてみせる表現手段でした。しかし80年代にはレーガン保守政権が登場。それと軌を一にしてハリウッドは無邪気な夢工場へと回帰します。まさにその時代にメインストリームからは弾き出された映画作家たち8人を取り上げ、80年代を象徴するそれぞれの代表作を腑分けし、時代と対峙した彼らの作家性を提示してみせるのが本書です。 取り上げられているのは: クローネンバーグ「ビデオドローム」 ダンテ「グレムリン」 キャメロン「ターミネーター」 ギリアム「未来世紀ブラジル」 ストーン「プラトーン」 リンチ「ブルーベルベット」 ヴァーホーヴェン「ロボコップ」 スコット「ブレードランナー」 本書「ブレードランナーの未来世紀」は単なる映画感想文集の類いではありません。トリビアの寄せ集めでも、製作秘話集でもありません。監督への直接インタビューによる高い一次情報と豊富な知識に裏打ちされた深い洞察の書といえます。 取り上げられた映画作家たちがつきつけるのは保守時代のうさん臭さです。80年代アメリカを彩るのは敬虔な信仰心、中絶や離婚を受け入れない家族主義、そして反共産主義。これらに基づく時代に敢然と矢を放つ彼らの描く世界は、どれも悪夢と幻想に彩られたものばかり。アウトサイダーとして同時代人に受け入れられることはなかなか叶わない場合も珍しくありません。 私自身20代を無自覚に送ったあの80代。本書が取り上げる映画のいくつかには当時から抑えがたい興奮を覚えたものもあれば、いまもって受け入れがたい気分をぬぐえない作品もあります。しかし本書によってあの時代の一側面を「読み直す」作業は大変有意義で、知的興奮を得られる体験でした。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
繰り返し咀嚼したい,
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レビュー対象商品: 〈映画の見方〉がわかる本80年代アメリカ映画カルトムービー篇 ブレードランナーの未来世紀 (映画秘宝コレクション) (単行本)
ブレードランナーの章を読んだ時には、映画本編を観た時そのままに、脳みそがパンパンに張ってオーバーロード状態、意識朦朧…。あまりにも過剰な情報、あまりにも膨大なイメージ、リドリースコット監督の言う「レイヤー」の海で溺れて溺死寸前。 しかし読み終えて気を取り直すと、ポツポツと脳内のシナプシスが繋がり始めていることに気付く。 今まで点だったものが線でつながり、三次元の奥行きを備えて立ち上がる。 ポストモダンと統合失調症についての解説を読んで、ふたたび意識が巻頭の「ビデオドローム」へと飛んだ。 人間の内部で起こっていることと俯瞰で見た人間社会での動きがリンクしているイメージ。 前回の「映画の見方がわかる本」は、監督とその作品を扱いながら、その仕事場であったハリウッドの移り変わりを描いた一幅の絵巻物のようであった。 しかしその続編にあたるこの80年代カルト・ムービー編では、特異な才能を持った監督達の内的宇宙を描き出してみせる。 「素晴らしき哉、人生!」を共通の触媒としているが、その咀嚼の仕方は監督それぞれに異なっている。 膨大なイメージを孕んだ多様な宇宙を連続して旅するような。 疲労感。 それが読後感。 分からなかった意味が分かって爽快〜なんてところじゃない。 余計に作品の暗部に引き込まれるような恐ろしさに満ちている。 クローネンバーグとデビッド・リンチ。 逆にその作品に爽快感を感じる事に後ろめたさを感じていたヴァーホーヴェン作品。 かの監督の数々の発言を知って納得し、後ろめたさを感じなくていいよな、と安心したり。 好きじゃなかったオリヴァー・ストーンやジョー・ダンテの株が一気に上がったり。 読む人それぞれに受け取るものが違ってくると思うが、監督の内的宇宙から発した信号を読者の内的宇宙と照らし合わせる事になるからかもしれない。 多元宇宙のように、少しずつ違うもの同士が呼応するような。 イメージばかりが浮かび上がって、うまく表現できないのだが…。 映画を見た時と同じくらいの疲労感を得られる、まことに面白い本でした。 一度では咀嚼しきれず、何度も読み返したくなる。 そんなところも、取り上げた映画の特質と共通していると思う。 「次の本」と筆者があとがきで言っている、ブロックバスター篇も是非読んでみたい。 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」とゼメキスをどのように料理してくれるのか楽しみ。
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