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最も参考になったカスタマーレビュー
26 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
指摘自体は正しいのでは,
By 柴のコロ "居眠り太郎" (東京都西東京市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 〈反〉知的独占 ―特許と著作権の経済学 (単行本)
知財権の実務屋として本書を読んでガツンときた。始めの3分の2までは、放り出そうと思いながら読んでいたのではあるが。 新入社員に行政側視点による知財権の意味を説明しているが、果たして実効が上がっているのかは正直言って考えたことがなかった。少なくとも問題提起部分の著者の主張は正しいと思う。企業の知財業務は当にレントシーキングである。 本書の著者の主張のうち、知財権がイノベーションを阻害しているという主張の部分に反感を感じた方は、最近の中国の知財権に対する日本のマスコミの反応を思い出してほしい。マスコミは中国企業が知財権を侵害することでイノベーションを阻害していると主張してはいないのだ。日本企業が野心に満ちた中国企業に押されている現状に対する不満を言い募っているだけではないだろうか。 一方、上記マスコミの反応からも分かる通り、実は知財権の社会的意義は、イノベーターとして参加したものの果実を手に入れられなかったものへ報復手段を与える機能にある可能性はないだろうか。刑務所が必ずしも犯罪者の更生に結びついていないというデータが多数あるにも係わらず、刑務所が犯罪行為への報復手段として重要であるように。 ところで、上記意義は別として、著者の知財権廃止論については手放しでは賛成できない。どのようなルールを作ったにせよ、企業の目的はレントシーキングに変わりはないのだから。知財権がイノベーションを阻害する目的で使用されるという著者の主張は正しいと認めるが、レントシーキングを促進する社会制度が悪であるように読めてしまう点はどうなのだろうか。知財権の経済効果について、イノベーション一つを取り上げるのではなく、知財業界の生産性をも含め、経済効果を検証する研究結果を見てみたい気がする(アメリカでは少なくとも重要なサービス産業である)。 いずれにせよ、知財権について冷静に考えるためには大変良いきっかけになる本であると思う。
27 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
著作権制度の有害性が理解できる本,
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レビュー対象商品: 〈反〉知的独占 ―特許と著作権の経済学 (単行本)
日本における著作権の議論は、どうしても法技術的なものになりがちだが、この本は、著作権の本質的な意義について議論する。結果として、著者たちは映画や文学などの著作権、さらに特許などの知的所有権のすべては廃止されるべきだというラディカルな主張をする。 著作権がなくとも、過去の偉大な文学は実際に創作されている。また、当時と同じように、異なった会社が同じ内容を出版することを許しても、実際にはその利益のほとんどが著者と最初の出版社に渡っていた、ということが説明される。 また現在の知的所有権は、発明を促進することに貢献していない。著作権の存在自体の多面に、自分の発明であるのに、時に他人の知的所有権の主張によって、使用を不可能にされることが頻繁にある(パテント・トロール)。それを予防するために、知的所有権を申請するという機能をもっているいるにすぎない。ほとんどのパテントは、他社からの使用差止請求を予防するために使われているのであり、そういった意味で本質的に生産コストを上げているだけだ。この事実は、多くのソフト会社などの開発費の実態から明らかにされる。つまり制度全体として、知的所有権は知的生産にかかる法律、技術費用を上昇させているだけで、社会の進歩を阻害しているというのである。なるほど考えて見れば、アメリカをはじめとして、特許弁護士は全体として大繁栄しているが、彼らがプログラムや工業技術などの開発に従事しているとするなら、はるかに世界は豊かになっているだろう。 こういった説明がどの程度説得的だと感じられるかは人にもよるだろう。しかし、とかく著作権者の権利保護という情緒的な主張に終始しがちな日本国内の議論に比べて、どれだけかの計量性をもって説得しようとする著者たちの態度は、まさに正統派の経済学の伝統にそったものだ。 できるだけ多くの日本人がこの本を読んで、ぜひとも著作権法の、本質的な非生産性、社会的な無意味さに目覚めてもらいたい。
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
だいたんな主張、あなたはどう読む?,
By
レビュー対象商品: 〈反〉知的独占 ―特許と著作権の経済学 (単行本)
「ミッキーマウス法」を皮切りに、日本でも知的財産権の是非をめぐる議論が巻き起こっている。この件に関して、多くの主張者はその権限の抑制をとなえながらも存置は否定しない。だが、 本書の主張はストレートでいて、極端だ。ずばり、特許や著作権の完全なる撤廃である。 あの不遜な態度がトレードマークの訳者山形浩生でさえ「少々居心地の悪い思いをした」と吐露 する著者二人の主張は、すなわち、知的財債権が著作者の創作意欲を促進するというのはまや かしであり、独占はむしろ新たなイノベーションの阻害ですらある、これである。本書は400ページ あまりを要して、様々な分野――発明、IT、出版、レコード、医薬品産業など――での知的独占 の功罪と、撤廃したときの知的イノベーションの促進を、歴史的、実証的に解き明かしていく。 たしかに、日々ネットをウォッチしていれば、クリエイターが次々と優れたコンテンツを作り続けてい る。彼らの多くは、無償でそれらを提供し続けているのだ。本書の中でも紹介されているが、この先 ソフト(音楽)をクリエイターが直に提供できるようになっていけば、これまで中間搾取していたかっこ うになるハード(レコード会社、プレス工場等)の分野は、どんどん困窮していくだろう。 その一方で、彼らの主張は物質をともなう産業には、きわめて不利なもののようにも感じる。主婦が アイデア一本で作ったような身の回りのグッズなど、初めから特許狙いのハード商品は、特許制度 が無くなれば二度と誕生しないのかもしれない。 だがしかし、それはあくまで現時点での「空想」でしかない。もしかすると、特許によって儲けようと儲 けまいと、人は発明し続けることだって考えられる。そういう意味でこの二人は、人類の飽くなき「発 明欲」に賭していると、言えるのかもしれない。なお、本書の主張を全うするよう、原著はネットで無料 公開されているとのこと。
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