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“癒し”のナショナリズム―草の根保守運動の実証研究
 
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“癒し”のナショナリズム―草の根保守運動の実証研究 [単行本]

小熊 英二 , 上野 陽子
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (23件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「新しい歴史教科書をつくる会」とは何だったのか。「つくる会」につどう自称“普通の市民”たちのメンタリティを実証的に分析し、現代日本のナショナリズムの行方を問う。

内容(「MARC」データベースより)

「新しい歴史教科書をつくる会」とは何だったのか。保守系ナショナリズム運動の草の根の活動を担う自称「普通の市民」たちのメンタリティと心の闇を実証的に分析し、現代日本のナショナリズムの有様を浮き彫りにする。

登録情報

  • 単行本: 228ページ
  • 出版社: 慶應義塾大学出版会 (2003/05)
  • ISBN-10: 476640999X
  • ISBN-13: 978-4766409994
  • 発売日: 2003/05
  • 商品の寸法: 19 x 13.2 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (23件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 4.0 「つくる会」の実像, 2006/9/30
By 
小僧 (東京都国立市) - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)   
レビュー対象商品: “癒し”のナショナリズム―草の根保守運動の実証研究 (単行本)
「史の会」という、「つくる会」の一地方組織に自ら参加、インタヴューすることでなされた実証的研究。小熊も言うように、著者上野陽子の真摯な態度が、このフィールドワークの成功の秘訣だろう。

この研究によって、「つくる会」を草の根で支える人々の、極めて「普通な」実像が明らかにされている。彼ら彼女らは、概して天皇制にクールだし、決して特定のイデオロギーで染まってはいない。「つくる会のスタート時は、これから新しい風が吹く、っていう感じで皆ワクワクしていたのね。」(P98)そういう気分で始まったこの運動も、用意には結果に結びつかないことが判明するや多くの人がさっさと脱退していく。「運動」よりも「私生活」を重視する、など、「公」の再構築を訴える「つくる会」の主張とは裏腹に極めて「現代的な」市民の姿がある。

「史の会」における「戦中派」と若者のすれ違いも興味深い。若者は、アイデンティティの核を求め、「目には見えない「国」に憧れを抱き、「伝統的な」と銘打たれた保守思想に安心感を覚え、日本人としての誇りを持てる「物語のような」歴史を待ち望んでいる」。そんな彼らにとって、戦争体験者の「リアリティ」はむしろ障害でしかない。彼らは、日本の戦争における英雄が英雄視されない理由として、「戦中派」がまだ生きていることを挙げている。「「戦中派」が亡くなって、抽象化されて初めて人は戦争に正しい評価を下すことができる」という。

極めてグロテスクだが、「歴史とは何か」「ナショナリズムとは何か」を考える上で非常に示唆的だ。小熊も言うように、「記憶」を抹消した上で、都合のよい「抽象化」をした「歴史」は正しい歴史、「正しい評価」と言えるのだろうか。

日本人の歴史認識というものを考える上でとても面白く、かつ有意義な一冊であった。
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34 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 違った観点から。。。, 2004/8/18
レビュー対象商品: “癒し”のナショナリズム―草の根保守運動の実証研究 (単行本)
巷によくある「自由主義史観批判本」と似たり寄ったりの内容だろうと、
今まで、あえて読まないでいたけれど、なかなかどうして面白い。

「自由主義史観」を旧来のナショナリズム的言説と同様のものと片付ける
ことをせず、その主張における「天皇論」や「常民像」の欠如を指摘し、
思想的に「寄りあい所帯」の「つくる会」がやがて内部分裂することを

予見した小熊氏の見識はみごとだ。

また、年代による戦争や国家への認識のギャップ、教科書採択運動への
期待と評価、そして個々人が抱える「空白」を、自由主義史観の支持団体
と支持者を考察した学部生のエスノグラフィーも、たいへんに新鮮で
面白い結果を明らかにしている。

社会学的な観点から近年のナショナリズムの浮揚に対するヒントを

与えてくれる良書と言えるだろう。

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42 人中、33人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 歴史教科書・需要サイドからの視点, 2003/10/6
レビュー対象商品: “癒し”のナショナリズム―草の根保守運動の実証研究 (単行本)
 これまでに「新しい歴史教科書」に対する批判は山ほど出されてきたが、それはほとんど製作サイドに対する批判だった。やれ資料や史実の選択に偏りがある、やれ最新の歴史学の成果を取り入れていない、アジアとの共存の視点に欠けている、などなど。中には「こんな教科書を使うと受験に受からない」というずいぶん実もフタもない批判もあった。 どれももっともだが、そこには一つ重要なものが欠けていたように思う。それはこの教科書の需要サイド、つまり従来の歴史教育を何らかの形で「おかしい」と考え、「新しい教科書」の登場を待ち望んでいた人々に対する視点である。実際、かなりの広範な支持がなければ検定・市販にまでこぎつけることはできなかっただろうことを考えると、教科書自体があれだけマスコミの注目を浴びた時に、その登場を支持した人々への注目がもっとなされてもよかったと思う。

 著者の一人である小熊さんは、比較的早い時期から「新しい教科書(あるいは「つくる会」)そのものよりも、そのメッセージに吸い寄せられる人々の存在に注目した鋭い発言を行っていた(本書第1章)。本書は、小熊さんのゼミ生の上野さんが行ったフィールドワークの結果によって、小熊さんがこの問題について示してきた仮説への裏づけが与えられる、という構成になっている。フィールドワークのやり方には疑問の余地もあるだろうが、こういう試みが今まで全く見られなかった中では高く評価されていいだろう。特に、「フツーであること」に強いこだわりを持つゆえに、フツーではないものを見つけて排除するこち?によって「癒し」を得ようとする、そんな「フツーの人々」こそが「新しい教科書」を支えていた、という本書のメッセージは重要だと思う。

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