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19 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
大正的権力と現代的権力の相似性を解く良書,
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レビュー対象商品: “法”から解放される権力―犯罪、狂気、貧困、そして大正デモクラシー (単行本)
敵艦隊に横腹を見せ、のちに「東郷ターン」と呼ばれる奇跡(というか自殺行為?)で勝利したバルチック艦隊殲滅は 日本が国家の存亡をかけた大決戦であった。 明治維新から、日露戦争大勝利にいたるまで、日本は列強 各国の期待を裏切り、大国相手に植民地化を防いできた。 「明らか」な敵に国民はこのときまでは一致団結していたの である。日本は日露戦争に勝ったことで、アメリカから「黄禍」 とまでいわれ「脅威」とみなされることになる。日本はさらなる 「防アカ」政策を推し進め、帝国としての自我なるものを補強 せなばならない。 しかし、日露戦争が終結し、より国家への求心力が強まるかと 思いきや、民は反対の方向に歩き出す。人間、平和が訪れると 本も読めば、欲しいものも出てくれば、新しい思想に感化される。 それは権力にとっては一番厄介なこと「国家の価値が下がること」 であった。 もはや、暴力的で圧政的な統治方法では、賢く、欲張りになった 民達は統制できない。そこで、「民衆」のすぐ近くに差異を作り、 民側の「自主性」をも尊重した現代に通じる統治テクノロジーが 発明される。この「自主性」というのがクセものだ。 このテクノロジーの共通点を「狂気」「貧困」「犯罪」という 広範囲な領域から分析しているのが本書である。 著書が描く、大正的な権力は、今の権力のスタイルと相通じる。 上から一方的に押し付けられるものではなく、多元的に散乱し、 民衆が望み、あるパワーバランスが均衡した瞬間に生み出される のだ。 最後に、権力に思い切り抵抗すると100倍になって必ず返り 射ちにあう。たったひとつの利害関係だけを根拠に反抗すると 必ず別の弊害がでる。 相手を利用するのだ。 権力に反抗したい人は必ず読んでおいた方がよい。
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