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ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを (ハヤカワ文庫 SF 464)
 
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ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを (ハヤカワ文庫 SF 464) (文庫)

カート・ヴォネガット・ジュニア (著), 浅倉 久志 (翻訳)
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 307ページ
  • 出版社: 早川書房 (1982/02)
  • ISBN-10: 4150104646
  • ISBN-13: 978-4150104641
  • 発売日: 1982/02
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
  • Amazon.co.jp ランキング: 本 - 84,224位 (本のベストセラーを見る)

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5つ星のうち 5.0 愛おしい小説, 2008/1/17
 『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』には「豚に真珠」という副題があります。
 大富豪でありながら慈善事業に一身を投げ出し、持てる財産を次々と減らしてしまう主人公エリオット・ローズウォーターさんの行動は
現代社会の一般的な視点から見れば異常と言うほかなく、実際、彼の父は息子を精神異常者扱いします。
 膨大な資産を有効に運営するだけでも汗水たらして日々働く労働者よりも収入が入る、
なのに息子は困った人を助けるために惜しげもなく財産を使う。彼にとって息子に財産を与えることは豚に真珠をやるも同然なのです。

 もちろんヴォネガットはそんなことだけを考えてこの副題を決めたのではない。
ヴォネガットが批判したいのはエリオットの父親のような金満家と、そういった人物を崇め、へつらってきた現代社会そのものなのです。
 エリオットはそうしたヴォネガットの心情を一身に引き受けており、そのために金持ちを尊敬しない。
彼が尊敬するのは他でもなく、日々を危険とともにありながらも命を賭けて人命を救う、消防士なのです。
そんなエリオットから見れば、俗にひたりきった金持ちが大金を持って気ままに振舞っていることこそが「豚に真珠」です。

 だが、この小説が真に凄いのは、単にエリオットの礼賛小説であることではなくむしろ、作中でおきる事件のことごとくがエリオットにとって不利なものであることです。
 妻は夫の行動を素晴らしいものと捉えつづけながらも度を越した慈善活動に疲れきり、結婚生活を継続することを諦めるほかなくなってしまい、
エリオットに恩義を受け、彼を慕った町の人々も、ひとたびエリオットが離れてしまうと手のひらを変えて悪し様に言うようになる。
 こんな世の中ではたして人は何のために生きるか、それがヴォネガットの残した課題だと思います。

 あまりにも途方もない理想家で、周囲の空気を読めず、度というものを知らず、だけども優しい。
そんなエリオットは紛れもなく作者ヴォネガットの人格の大部分を占めているでしょう。
 こんな金が支配するロクでもない世の中に、人間そのものに希望を持ち、
それを最後まで失いきることがなかったヴォネガットの魂が、天の上で「誰かさん」の恵みを得ることを心から願います。
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9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 ヴォネガットさん、あなたは偉大なカナリヤでした。, 2007/8/31
By ともぱぱ - レビューをすべて見る
(TOP 100 REVIEWER)   
私にとって今年の悲しむべき出来事の一つは作者ヴォネガットが4月に亡くなったこと。青春時代ヴォネガット愛読者だった者として、本作を久しぶりに読みかえしたのだが、ほろ苦さが蘇ってくる。やはり本作は傑作だ。今日、格差社会の問題が叫ばれているが、富の偏在、そして多数の貧しき者の疎外感の問題に対して、面白おかしくではあるが40年以上前に警鐘を鳴らしていた作者は、自ら述べていたようにいち早く危険を知らせる炭鉱のカナリヤであったのだ。心から冥福を祈りたい。

本書に戻って、主人公エリオット・ローズウォーターがとった行為は隣人「愛」だったのだろうか。貧しい人たちに同情し、金銭的な援助を与え、優しく接するとともに、火事の現場に駆けつけ、貧富にかかわらず人を救う消防士を理想とした彼の行動。読者によって評価は分かれるだろうが、私は大いなる「親切」だと思いたい。後年、作者は「愛は敗れても親切は勝つ」という名言を残すが、その「親切」にこの困難な世界の問題を解く鍵はありそうである。

本書でキルゴア・トラウトが初登場する。彼のおかしなSF小説の粗筋は妙に現実世界の本質をついており、本書の絶妙なスパイスとなっている。エリオットとトラウトは次作の「スローターハウス5」にも登場するので、そちらも是非一読して下さい。それでは、プーティーウィーッ?
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32 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 人類への、、、「愛」?, 2001/12/12
By とりさん (東京都千代田区) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
マイ・ヴォネガット・ブームが再度やってきているらしい。このところヴォネガットの小説を立て続けに読み返している。よく言われるように、ヴォネガットの描く「人類への愛」を熱烈に欲している時期だからだろうか。そういえば季節はクリスマス。「人類への愛」に目覚めたとしてもおかしくもない…

冗談だ。

多くの論者が評するように、ヴォネガットが貧乏人に対して金を使いまくる主人公を描いたからといって、「人類への愛が表現されている」なんてことは思わない。ここに描かれるのは、ヴォネガット得意の「伝記」タイプストーリーを利用して、いかにファンキーな騒動を描けるかということだろう。

さまざまな悲惨な喜劇を、あるいは笑える悲劇をこれでもかと繰り出してくるヴォネガットの筆力を存分に楽しめる作品だ。

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投稿日: 23か月前 投稿者: ぴよ

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